


この記事では、最新の高配当株情報を効率よくインプットしたいと考えている方のために、絶対に押さえておくべき今週の高配当株情報をまとめましたので解説をしていきます。

この記事を最後まで読むことで、来週に向けて高配当株投資の戦略を立てる役に立つかと思いますので、是非最後までお付き合いください!
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最新の高配当株の概要
それでは、最新の高配当株の概要ということで、
- 日経高配当50ETFのチャート推移
- 過去3年間の高配当株数の推移
- 最新の配当利回りランキング
について順番に解説をしていきます。
日経高配当50ETFのチャート推移

まずは、日経高配当50ETFのチャート推移を確認していきましょう。
そもそも、『日経高配当50ETFとは何なのか?』というと、主要な日本の高配当株約50銘柄にまとめて投資をしているETFのことです。
日経高配当50ETFは、基本的に日経平均に連動するような値動きをする傾向にあります。
ですが、週足2年チャートで見ると、
この2年間、日経高配当50ETFは右肩上がりで上昇をしているものの、日経平均株価は高値を更新できずにレンジでの推移となっています。
ただ、直近の値動きに関しては、高配当50ETFよりも日経平均の方が強い値動きをしています。
高配当50ETFの今週の値動きに関しては、月曜日は横ばい、火曜日に大きく株価を伸ばし、水曜日は後場に急落、木曜日、金曜日と横ばいでの推移となっています。
過去3年間の高配当株数の推移

続いて、過去3年間の高配当株数の推移を確認していきます。
コロナショック以降、
・先行き不透明感による減配と、
・金融緩和による株価上昇で
高配当株数は300社以下で推移しました。
ですが、2021年の年末頃から、新型コロナウイルスにも見通しが立ちはじめ、好調な業績を背景に、復配、増配をする企業が多くみられ高配当株数は増えていきました。
今週の金曜日5月12日の終値ベースでは、税引後の予想配当利回り3%以上の銘柄数は【629社】と、増配をする企業が増えてきており、先月末の【592社】から37社増えています。
高配当株数が増えてきているということは、
・株価が下落したことにより、利回りが上昇してきているのか、
・増配をしたことにより、利回りが上昇をしているのか
のいずれかです。
恐らく、決算シーズンということもあるので、増配の発表をした企業が増えているということかと思います。
高配当株数が増えるということは、われわれ高配当株投資家にとっては、選択肢も増え非常に嬉しいことです。
最新の配当利回りランキング

続いて、5月12日金曜日時点での高配当株ランキングを見ていきましょう。
1位は、レーサムで配当利回りは12.38%
2位は、住信SBIネット銀行で配当利回り10.99%
3位は三井松島ホールディングスで配当利回り10.21%です。
ランキング上位の10銘柄は先週から大きく顔ぶれが変わっています。
海運株を含む7銘柄がランク外となり、新たな銘柄がランクINしています。
多くの人が予想していた通り、海運株は軒並み大幅減配。上位10銘柄からは全て消えました。
その代わりに、今期好調な業績を見込み、増配を発表した銘柄たちがランクINしています。
注目すべきは、ランキング1位となったレーサムで、過去最高益を更新する予想で、23年3月期に1株55円だった配当は24年3月期には1株175円と増配率は驚異の218%です。

今週注目の高配当株ニュース
それでは、今週注目の高配当株ニュースの解説をしていきます。
①日本郵船、前期比10.6%増で過去最高益も、コロナバブル終焉か。

【9101】日本郵船が5月9日の12:00頃に決算を発表しました。
23年3月期の連結経常利益は前期比10.6%増の1兆1097億円で過去最高益を更新しました。
また、配当に関しては、株式分割を考慮すると、22年3月期の1株483.3円⇒23年3月期には1株520円と7.6%の増配となりました。
一方で、24年3月期の連結経常利益は前期比82.0%減の2000億円と大きく落ち込む見通し。
同時に、配当に関しても、株式分割を考慮すると、23年3月期の1株520円⇒24年3月期には1株120円と76.9%の減配とする方針と発表しました。
決算の発表を受けて、株価の反応は…?

決算の結果を受けて、株価は窓をあけて大きく下落。
前場の終値から一時▲6.6%も株価を下げました。ですが、そこから一転し株価は上昇。決算翌日には決算前の水準まで株価を戻してきています。
日足チャート、週足チャートに関しては、大きなトレンドはなく、この2年間はレンジで推移しています。
今回の決算で押さえておくべきポイント
それでは、今回の決算の内容を深掘りしていきたいと思います。
日本郵船の今回の決算において、押さえておくべきポイントは2つで、
- なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?
- なぜ、24年3月期は前期比82.0%もの減益となってしまうのか?
の2つです。
なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?

23年3月期に過去最高益を更新することができた要因は主に3つあります。
1つ目は、定期船事業において、スポット運賃下落や荷動き鈍化が見られたものの、2Qまでの高市況に支えられ通期では堅調な運賃水準となり、高い利益水準を維持することができました。その結果、前期から571億円の増益となっています。
2つ目は、不定期専用船事業において、自動車輸送で輸送需要の変化に柔軟に対応し輸送ニーズの取り込みに成功。そして、エネルギー事業でタンカーの高市況を享受した結果、前期から730億円の増益となりました。
そして、3つ目は、為替変動による影響で、22年3月期の為替レートが112.06円だったのに対して、23年3月期は135.07円と20.5%も円安が進んだ結果、1611億円もの増益効果となりました。
なぜ、24年3月期は前期比82.0%もの減益となってしまうのか?

その一方で、なぜ24年3月期は前期比82.0%もの減益となってしまうのでしょうか?
セグメント別の業績予想を見ると、定期船の7223億円の減益が大きく影響していることが分かります。
これは、前期の経常利益が1兆1097億円ですので、定期船だけで65.1%もの減益予想となっています。
この要因として日本郵船は3つ挙げており、
- 前年度比で大幅な運賃水準の下落と荷動き減少を見込んでいるため
- サプライチェーンの混乱解消と荷動き減少に伴い、市況高騰が収束してきているため
- 需給の本格的な回復には未だ一定の時間を要するも、夏場から秋口にかけて在庫調整が一巡し荷動きが回復することを見込んでいる為
とのことです。

②三菱商事、2年連続で過去最高益を更新も、来期は22.1%の減益予想

【8058】三菱商事が5月9日の大引け後に本決算を発表しました。
23年3月期の連結最終利益は前期比25.9%増の1兆1806億円と2年連続で過去最高益を更新し、三菱商事初の1兆円台に到達しました。
また、配当に関しては、22年3月期の1株150円⇒23年3月期は1株180円と20.0%の増配、そして24年3月期に関しては、20円増配の1株200円で11.1%の増配の予想となっています。
一方で、24年3月期の業績に関しては一転、連結最終利益前期比マイナス22.1%の9200億円まで落ち込む見通しです。
決算の発表を受けて、株価の反応は…?

決算の結果を受けて、株価は翌日に窓をあけて大きく上昇。
前日の終値から一時6%超も上昇しました。
日足チャート、週足チャートに関しては、綺麗な右肩上がりのチャートとなっており、どこまで株価を伸ばしていくのか注目です。
今回の決算で押さえておくべきポイント
それでは、今回の決算の内容を深掘りしていきたいと思います。
三菱商事の今回の決算において、押さえておくべきポイントは3つで、
- なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?
- なぜ、24年3月期は前期比22.1%もの減益となってしまうのか?
- 今後の株主還元の方針について
の3つです。
①なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?

三菱商事は、なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することができたのか?
セグメント別の状況を確認してみると、前年度比で大きく利益を伸ばしているセグメントが2つあります。
1つ目は、複合都市開発セグメントで、前年度比プラス833億円と大きく伸長。不動産運用会社(三菱商事・ユービーエス・リアルティ)の売却益が主な要因として挙げられます。
2つ目は、天然ガスセグメントで、前年度比プラス655億円とこちらも大きく伸長。LNG関連事業や北米シェールガス事業における持分利益の増加などが要因として挙げられます。
②なぜ、24年3月期は前期比22.1%もの減益となってしまうのか?

その一方で、なぜ24年3月期は前期比22.1%もの減益となってしまうのでしょうか?
こちらも同じく、セグメント別の見通しを確認してみましょう。すると、複合都市開発セグメントと、金属資源セグメントの減益額がかなり大きいことが分かります。
複合都市開発セグメントに関しては、前年度に計上した不動産運用会社の売却益の反動です。
そして、前期から最も大きな減益額となっている金属資源セグメントに関しては、豪州原料炭事業における市況下落の影響とのことです。
三菱商事の業績は市況の影響にどのくらい左右されるのでしょうか?

決算説明会資料に実際の影響額が記載されていましたので、この数値をもとにボクの方で計算をしてみました。
為替に関しては、1ドルあたり50億円の影響があるとの試算で、2023年度は5.5円「円高」に進むとの見通しですので、これだけでマイナス275億円にのぼる見通しです。
それ以外に関しても同様に計算をしてみました。
ただ、2023年度に影響が最も大きいであろう、原料炭に関しては非開示となっています。ここが一番重要ですので、開示をして欲しかったなと、個人的には思います。
③今後の株主還元の方針について

それでは、みなさんが最も気になるであろう株主還元についての発表がこちらです。
2023年度以降の還元方針については、総還元性向40%程度を目処に実施する方針とのことです。
その上で2023年度は、
・配当に関しては、累進配当性の下、1株あたり200円への増配を予定。
・自己株式取得に関しては、上限1000億円の範囲内での実施を決定。
としています。
2022年度は、好調な業績を背景に、追加還元として、上限2000億円の自己株式取得を追加し、総還元性向は53%とホルダーに取っては非常に嬉しい結果となりました。
2023年度は増配をするものの、大幅な減益予想となっており、買い増しのタイミングが非常に難しいところです。
③KDDI、22期連続増配を発表、10年連続で過去最高益を更新

【9433】KDDIが5月11日木曜日の大引け後に本決算を発表しました。
23年3月期の連結最終利益は前期比0.7%増の6774億円と、2014年3月期から10期連続で過去最高益を更新しました。
また、配当に関しては、22年3月期の1株125円⇒23年3月期は1株135円と8.0%の増配、そして24年3月期に関しては、5円増配の1株140円で3.7%の増配予想となっています。
そして、24年3月期の業績に関しては、連結最終利益前期比プラス0.4%の6800億円と、過去最高益を更新する予想です。
決算の発表を受けて、株価の反応は…?

決算の結果を受けて、株価は翌日に窓をあけて大きく上昇。
前日の終値から一時3%超上昇しました。
日足チャート、週足チャートともに、調整はあるものの、綺麗な右肩上がりのチャートとなっており、どこまで株価を伸ばしていくのか注目です。
今回の決算で押さえておくべきポイント
それでは、今回の決算の内容を深掘りしていきたいと思います。
KDDIの今回の決算において、押さえておくべきポイントは3つで、
- なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?
- なぜ、24年3月期も過去最高を更新することが出来るのか?
- 今後の株主還元の方針について
の3つです。
①なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することが出来たのか?

KDDIは、なぜ、23年3月期に過去最高益を更新することができたのか?
連結営業利益の増減要因を決算資料で確認してみると、【値下げ・燃料高騰の影響等に対し、注力領域やコスト効率化等により増益】と記載されています。
詳細を見ていくと、
・マルチブランド通信ARPU収入
・グループMVNO収入+ローミング収入
・エネルギー事業
・燃料高騰影響・通信障害影響
の4項目が前期比でマイナス。
それに対して、
・3G停波関連
・DX・金融事業
・その他(コスト効率化等)
の3項目が前期比でプラスになっています。
この3項目の中では3G停波関連の増益額が最も大きく、3Gサービスを終了することで、これほどまでの増益になるのかと正直驚きました。
②なぜ、24年3月期も過去最高を更新することが出来るのか?

つづいて、なぜ24年3月期も過去最高を更新することが出来るのか?
こちらも連結営業利益の増減要因を決算資料で確認してみると、【通信ARPU収入反転や注力領域の成長等で、ローミング収入減をカバー】と記載されています。
グループMVNO収入+ローミング収入の約600億円の減益分を、通信ARPU収入や、DX、エネルギー事業などの増益分でカバーできる見通しです。
ローミング収入とは、楽天モバイルや海外ローミングを受け入れた際に得られる収益のことで、コロナも落ち着き訪日外国人が増えてくれば、減収の影響は緩和していくことが見込まれます。
③今後の株主還元の方針について

それでは、みなさんが最も気になるであろう株主還元についての発表がこちらです。
KDDIは22期連続でのDPS成長を目指すとのことで、24年3月期は、
- 5円増配の1株140円を予定
- 上限3000億円の自己株式取得枠を設定
する方針とのことです。
KDDIは毎期着実に業績を伸ばしており、現在は21期もの間連続で増配をしている高配当株投資家に大人気の銘柄です。

来週の主要決算のスケジュール

こちらが、来週の主要決算のスケジュールです。
今週の怒涛の決算から一転、一気に決算の件数が減ります。とはいえ、高配当株投資家が注目する銘柄の決算はまだまだ残っています。
5月15日 - 月曜日
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクの決算が揃って発表されます。それ以外にも注目の決算が多く、ブリヂストンやゆうちょ銀行、第一生命あたりには注目をしたいです。
5月16日 - 火曜日
11期連続増配中の光通信の本決算があります。業績も堅調に推移しており、個人的に注目をしている企業のひとつです。
5月17日 - 水曜日
配当利回り6%超かつ、4半期配当の代表格のあおぞら銀行の決算。
5月18日 - 木曜日
配当利回り5%超のイチケンの決算があります。この会社は、パチンコ大手のマルハンの系列会社で、株価急騰中の銘柄です。
5月19日 - 金曜日
損保ホールディングス、MS&AD、東京海上の大手保険会社の決算となっています。

この決算を受けて、どう動いていくのかが非常に重要です。
買う株、売る株、決算の内容を鑑みて、冷静に適切に判断をしていきたいところです。